保育園と学校

 英国の保育園に当たるナーサリー、小学校に当たるプライマリースクールについて紹介したい。プライマリースクールは5才から11才までの子どもが通うので、日本よりちょっと早い。

 

 日本の子どもが英国に来てプライマリースクールに通いはじめると、まず直面するのが言葉の壁になる。子供にとっても、親にとっても。

 

ナーサリー

 

 私営。教会の建物の一部を使って運営していたりする。支払いは一週間ごとで、チェック(小切手)で行う。

 

 英国では日本以上に共働きが多いので、多くの子どもは、おしめが取れるやいなやナーサリーで初めての社会生活に入ることになる。絵本のお話を聞く時間、おやつを食べながらビデオを見る時間、ブロックなどで自由に遊ぶ時間という風に、わりとめりはりがある。

 

 おやつは家から自分の分をもっていく。多くは、小さな袋に入ったクリスプス、日本で言うポテトチップスなどである。

 

 園外活動も結構活発で、週末には親も同伴でバスに乗ってサファリパークに行ったり、町のお祭りの日には練習したダンスの披露などがある。

 

 ナーサリーに入るには、まず電話で定員の空きの有無を確認する。空きがあれば、次の日にでも連れて行ける。住所、親の連絡先をレジストレーションに書き込むぐらいであっけないほど簡単に手続きは終了する。

 

 手続きが済めばその日から入園できる。入園のしおりのようなものをもらうので、特に支払の条件、ナーサリーを休んだときの支払いはどうなるかなどを確認しておく。

 

プライマリースクール

 

 9月始まり。一年生、二年生と呼ぶ代わりに、クラス1、クラス2と呼ぶ。一学年にふたクラスある場合はクラス1の子どもは、翌年クラス3になる。クラス2の子どもは、クラス4になる。

 

 普通、クラスの中は、学力別の班に分かれていて、それぞれのレベルに合わせて教材なども少しずつ変えて教えるようにしている。日本の小学校低学年が国語と算数を中心に教えるように、英国では、低学年では英語と算数に力を入れている。

 

 英語と算数の教育については、別に述べたいが特に英語の教え方はいろいろと工夫されていて、日本人の子どもでも、数カ月でほとんど問題なく授業についていけるようになる。

 

 子どもの良いところを伸ばすというのが方針のようで、成績もその子なりにがんばったかどうかでつけられる。日本でも低学年ではそうだが、英国では高学年になってもこの方針がかなり尊重されている。

 

 どちらが良いとは言い切れないが、よく言われるように日本では均質的な教育、英国では結果として個性的というか多様な学力を持つ生徒が生まれることになる。

 

 それでも最近は、教師の反発の対象になりながらも全国一斉テストなどが試験的に行われるようになり、均質的な教育に変わりつつある。

 

 最近の英国の国際競争力の低下は、個性的な教育を進め、教師の裁量が大きく認められてきたことによる弊害との考えがあるようだ。